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久保田さんと山田ルイ53世
名古屋・大須の街を飛び出し、気づけば兵庫県神戸市。潮風香る酒どころに、ワイングラスが日本一似合う男・山田ルイ53世が降り立ちました 。
「大須を飛び出しすぎやないか~い!」という魂の叫びも虚しく、番組コンセプトが迷子になっていることを嘆く山田ルイ53世。しかし、目の前に現れたのは、1743年の創業から280周年を迎えた日本酒界の巨人、白鶴酒造の巨大な看板でした 。今回は、江戸時代から続く名門の裏側にある執念のこだわりを、貴族の視点で暴いていきます。
宝石を磨き出す狂気。1.6万円の「天空」に貴族の金銭感覚が揺らぐ
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天空
案内役の久保田健斗さんに導かれ、まず対面したのは白鶴の技術の結晶、「超特撰 白鶴 天空 中取り 純米大吟醸 白鶴錦」です 。1本1万6500円という貴族価格に、山田ルイ53世も思わず絶句します 。
このお酒の凄みは、その削りの美学にあります。自社開発の希少米「白鶴錦」を、精米歩合38%まで磨き上げているのです 。
お米の6割以上を惜しげもなく削り落とし、美味しい芯だけを抽出した贅沢の極致 。「ルネッサ~ンス!」と掲げた一杯は飲んだ直後に快感をもたらすほどの絶品。
山田ルイ53世も「おいしい!香りが良いですね。日本酒ってちょっと甘ったるいイメージがあったけれど、すごくキレがある。一瞬ふくよかな甘みがきて、スパーンと旨味に変わるというか」と太鼓判を押しました。
剥ぎ取られたアイデンティティと職人の鼻が守る聖域
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キャラを失った山田ルイ53世
感動の試飲を終えた一行は、一般人立ち入り禁止の酒造りの心臓部へ。しかし、ここで山田さんを悲劇が襲います。
衛生管理のため、トレードマークであるシルクハットの着用が禁じられ、真っ白な不織布の防護服とヘルメット姿に。「唯一残ったキャラクターが全部取られた」と嘆く姿は、もはやただの清潔な一般男性です。
キャラを失った山田ルイ53世は、「白鶴錦」のサンプルを見て、お米を蒸したり麹を作ったりする麹置場と麹を蒸す製麹室に見学した後、100本もの巨大タンクが並ぶ発酵室で伝統の櫂入れを体験します。
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発酵室
櫂入れは、タンク内で発酵しているもろみをかき混ぜ、温度を均一に保ちながら微生物の発酵を促すことが目的。適切なもろみにしていく、日本酒作りの重要な工程です。
長い棒を使い、深いタンクの底からかき混ぜる作業は「結構深い!そして重い!」と悲鳴を上げるほど。
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櫂入れ
驚くべきは、白鶴の執念です。やりすぎてもよくないし、やらなさすぎてもよくないため、最終的な味の決め手は人の感覚で決めることが重要だといいます 。微生物という生き物を扱っているからこそ繊細な調整が必要であることに、山田ルイ53世は伝統を守る現場のプライドを感じ取っていました。
さらに、圧搾室で提供された搾りたての酒粕を口にすると、またもや新発見が。スーパーで見かけるものとは別物のフレッシュな味わいに、「これはフレッシュチーズ!ザラメをかけて焼いたら最高のおやつ」と大絶賛。案内役の久保田さんに「その食べ方知らんの?知らんのに白鶴なんや(笑)」と、鋭いツッコミを飛ばしていました。
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酒粕
次は、全国新酒鑑評会で金賞を獲った非売品の日本酒を試飲。「うわ~香りがすごい!」と驚愕。甘みと辛さがちょうどいいバランスであることに喜んでいました。
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金賞受賞酒
280年目の反抗期?バジルとホップという禁じ手
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白鶴酒造資料館
旅の締めくくりは、大正時代の酒蔵を改装した資料館の一角にある、「HAKUTSURU SAKE CRAFT」です。ここは、最高品質の日本酒を小さいスケールで造れる設備を取り揃えた場所で、毎月1種類くらいのペースで資料館限定のお酒を販売するための攻めの拠点です 。
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HAKUTSURU SAKE CRAFT
そこで登場した「No.15 ホップ&バジル」は、もろみにビール用のホップとイタリアンの定番バジルを投入して一緒に発酵させるという、280年の歴史に対する良質な反抗期のような1本でした。
グラスに注がれたピンク色の液体を前に、「味が全然想像つかない」と困惑する山田ルイ53世でしたが、一口飲めば表情は一変。「新しい!飲み口がジンみたい!若い方にも受ける感じ」とアドリブとは思えないキレキレの食レポを披露しました。
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No.15 ホップ&バジル
具体的には、「ホップの爽やかな苦味が後に引くので、日本酒にはない良いところを補完している形」だそうです。このアグレッシブな挑戦に、老舗の懐の深さと未来への希望を強く実感したようです 。
伝統とは、変わり続ける勇気のこと
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喜ぶ山田ルイ53世
「白鶴のお酒、めっちゃうまいやないか~い!」
最後は満面の笑みで、最高のルネッサンスを締めくくった山田ルイ53世。江戸時代から続く伝統をデータと職人の勘で守り抜き、一方でバジルをも飲み込む自由な発想で進化し続ける白鶴酒造。私たちの手元に届く一本のボトルには、そんな伝統という名の狂気的なこだわりがぎっしりと詰まっていました。
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