「名古屋にいた頃の記憶が刷り込まれてます」小手伸也が抱く喫茶店への思い:純喫茶つながり、閉店します

連続ドラマ「純喫茶つながり、閉店します」

  • 「純喫茶つながり、閉店します」より

テレビ愛知では、3月1日(土)から毎週土曜午後3時30分より、連続ドラマ「純喫茶つながり、閉店します」(全5話)を放送中!

喫茶店だからこその距離感でつむがれる、今も昔も変わることがない人と人との「つながり」や「ぬくもり」を肌で感じる心温まる物語。

【あらすじ】
父の死を契機に名古屋の喫茶店「純喫茶つながり」が閉店することに。売れない小説家から臨時マスターになった典夫(竹財輝之助)とバイトの亜希菜(渡邉美穂)、常連客の小山田(小手伸也)のもとには、さまざまな悩みや背景を持った人々が集まる。悩みを抱える人たちが喫茶店での会話を通じて“人生を前向きに見つめ直す姿”をリアルに描いていく。

「読むテレビ愛知」は、さまざまな映画やドラマで存在感を発揮している俳優の小手伸也にインタビュー。純喫茶への思いや、名古屋の思い出まで、たっぷり話を聞いた。

名古屋にいた頃の記憶から、居心地の良さが刷り込まれてる

——まずは、ドラマの脚本を読んだ感想からお聞かせください。

「言葉を選ばずに言うと、非常に地味だけど、とても温かい物語だと思いました。物語の中心には、臨時マスターとして店を継いだ典夫と、彼の父親との関係があるのですが、僕が演じる常連客・小山田や、バイト店員の亜希菜のように、血縁関係がない人たちも緩やかにつながっている。自分の身の回りにはそういった場所がないので、正直、ちょっと羨ましくも思いました。

こういう空間って少しずつ減ってきていますし、ノスタルジーを感じる部分もあって。居心地の良さとか、この場所に対する思いは共有しているけど、必要以上に深入りしない。だけど、お互いちゃんと思いやっている…なんかデジタル的なゼロイチではない、押し付けでも無関心でもなく、ただ寄り添って気づきを与えてくれる距離感がとてもいいなぁと思います」

——竹財さんと渡邉さんの印象はいかがですか?

「竹財さんとは以前、即興ドラマという特殊な現場で1日だけ共演したことはありましたが、がっつりドラマでご一緒するのは初めてでした。渡邉さんとは、これもまた変な現場なんですが(笑)、生ドラマの現場で一度ご挨拶した程度でほぼ初対面だったのですが、不思議とそんな気がしなくて。正直、こんなに和気藹々と芝居ができるとは思ってもいませんでした。『純喫茶つながり』には、ここに来れば自然と仲間になれるという空気がありますが、その空気をわざわざ作る必要がなかったというか。撮影中も竹財さんと談笑したり、渡邉さんと戯れあったりするのが本当に楽しくて。みんなに会いたくて現場に通ってましたから、気分は完全に常連客でしたね(笑)。

  • ▲連続ドラマ「純喫茶つながり、閉店します」より。写真左から渡邉美穂、小手伸也、竹財輝之助

翻って考えれば、この感覚は僕たち俳優の仕事にも近いのかなと思いました。僕たちも、作品ごとにキャストやスタッフが一期一会で集まって、撮影が終わると解散する。でも、撮影期間は大事な仲間なんですよね。そういう感覚が、この作品の登場人物たちとも通じるなと思いましたし、今回それが存分に活かせた気がします」

——小手さんご自身は、純喫茶に行かれますか?

「わりと好きで、昔からお気に入りの喫茶店もあったんですが、残念ながら閉店してしまって…最近は純喫茶が減ってきていますよね。
結果的におしゃれなカフェに行くことも多いのですが、やはり純喫茶ならではの居心地の良さってや特別だなと思うんです。例えば、ちょっと深めのソファとか、温かみのある暗めの照明とか。そういう雰囲気が好きで、見つけたら入りたくなります。

実は僕、子どもの頃に名古屋に住んでいた時期があって、よく父親と喫茶店に行っていました。当時はインベーダーゲームのテーブル筐体が置いてある喫茶店も多くて、遊ばせてもらうのが楽しかったです」

——名古屋の喫茶店に思い入れがあるんですね。

「名古屋にいた頃の記憶から、喫茶店の居心地の良さが刷り込まれているのかもしれません。台本を読んだり物を書いたり、一人になりたい時に喫茶店に行くことが多いです。
名古屋の喫茶店といえば、やっぱりナポリタン。名古屋ではスパゲッティが鉄板に乗っているのが当たり前で、僕も子どもの頃からそれが普通だと思っていたのですが、名古屋を離れて初めて『あれ? これって全国区じゃなかったんだ』と気づきました(笑)。小倉トーストも当たり前のように食べてましたけど、名古屋ならではのものだったんですね」

——純喫茶ならではの味で、印象的に残っているものはありますか?

「今回の作品にもナポリタンが登場するのですが、喫茶店のナポリタンって、ちょっと“ゴテッ”としてるのがいいんですよ。おしゃれなパスタ屋さんで食べるのと違って、サラッとしてなくて、ほぐしながら食べるのが楽しい。ケチャップが濃いめで、ソーセージの旨みがしっかり染み込んでいるのが最高です。

昔の喫茶店って、タバコの煙とコーヒーの香り、それに誰かが食べているピラフやナポリタンの香ばしい匂いが入り交じってましたよね。その独特の空気感が印象に残っていて、いまだに似た雰囲気の店を探してしまうのかもしれません」

——純喫茶は、小手さんにとって親しみやすい場所なんですね。

「そうですね。でも実は、僕自身はどこかの常連になるのがちょっと苦手なんです(笑)。『また来たよ!』みたいな顔ができなくて、ちょっとドキドキしちゃうタイプ。今回のドラマでは常連客を演じていますけど、実際はそういういきつけのお店がないんです。羨ましいなぁと思いつつ、いざ自分がやるとなると、ちょっと照れくさくてできないというか。

でも、家の近くにこんな喫茶店があったらいいなとは思います。もしあったら、ちょっと頑張って常連になってみたいくらい。将来的には、第二の実家のように落ち着ける行きつけを持ちたいな、なんて夢もあります。このドラマをきっかけに、リアルでもそういうつながりが持てたらいいなと思いますし、視聴者の皆さんにもそう思ってもらえたら嬉しいですね」

小手さんが純喫茶の常連客に扮する連続ドラマ「純喫茶つながり、閉店します」(全5話)は、毎週土曜午後3時30分放送! どうぞお楽しみに!

【小手伸也 プロフィール】
1973年12月25日生まれ。神奈川県出身。
劇団「innerchild」を主宰し、全作品の脚本・演出・出演を務める。第18回PFFスカラシップ作品映画「不灯港」では主演を務めた。舞台での活動が中心だったが、2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」で注目を集め、2018年には「コンフィデンスマンJP」(フジテレビ系)、「SUITS/スーツ」(フジテレビ系)に出演。「おむすび」(NHK)、「となりのナースエイド」(日本テレビ系)、「ソロ活女子のススメ2・3・4」(テレ東系)「しょせん他人事ですから 〜とある弁護士の本音の仕事」(テレ東系)、映画「TANG(タング)」、「もしも徳川家康が総理大臣になったら」など出演作多数。

【第2話あらすじ】
典夫と亜希菜、小山田が閉店を知らせるDMを作成する中、亜希菜が顧客リストの棚から謎の手紙を見つける。手紙の差出人や内容が何を意味するのか、謎の女との関係とは…。
そんな中、店を訪れたのが目の前に特盛小倉トーストを見つめるパート主婦の三好真理子。ママ友との関係に悩み、その悩みを断ち切るために一人で小倉トーストを食べきる挑戦をする。子どもたち同士も仲が良い中、絶交するか友情をとるか、葛藤する。典夫や亜希菜、小山田も真理子の悩みに耳を傾け、答えを模索していく。

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